コラム
①若年者が狙われる消費者被害事例
近年、若年者が被害に遭いやすい消費者被害事例といえば、情報商材や副業、オンラインカジノといった、儲け話に関する被害です。「誰でも簡単に儲けられるFXの自動売買ツールがある」とか、「チャットで相談を受けるだけ で報酬がもらえる手軽なアルバイトがある」などと、手軽な儲け話に乗せられて、結果的に高額の支払いをすることになってしまいます。しかも、多くのケースにおいて、相手はSNS等をきっかけに知り合ったどこの誰とも知れな い者であり、弁護士に相談される場合も、そもそも相手方が誰かを特定するということからスタートしています。
振り返ってみれば、怪しさ満載であり、なぜこんな契約をしてしまったのかと思うようなものなのですが、勧誘を受けたその時には、深く考えることなしに突き進んでしまうのです。このような「浅慮」状態が、被害を発生させる 大きな要因となっており、被害を防止するという観点からも着目される必要があると思います。
また、エステや美容医療といった美容関係の商品やサービスでも、若者からの被害相談が多くなっています。こちらも同じく「浅慮(せんりょ)」が原因となり、SNS広告などを見てクリニックに行き、その場で予想外に高額のコースに申し込んでしまったというような事案がみられます。さらに、通信販売では、化粧品や健康食品の「お試し価格商法」のトラブルも増えています。お試し価格商法は、「初回無料」や「初回500円」などといった通販サイトの「お試 し価格」表示につられて申し込むと、実際には複数回分の商品の購入になるなどして、数万円の支払いが義務付けられることになってしまうというものです。サイトの入り口が動画サイトやSNSの広告からとなっていることや、見せかけられた金額が小さいことなどから、若年者との親和性が高く、被害に遭いやすい状態になっていると思います。
このような商法について、京都では適格消費者団体である京都消費者契約ネットワークが表示の差止めを求める活動に精力的に取り組み、成果をあ げていますが、同様の手口を取る事業者は絶えておらず、まだまだ注意が必要な状況にあると思います。